はじめに
最近、Microsoft の「Copilot」という名前をよく聞くようになりました。でも、実は Copilot にはいくつか種類があって、「どれがどう違うの?」「うちの会社でも使えるの?」と混乱している方も多いのではないでしょうか。
特に、「ビジネス用のアカウントを持っていれば、Copilot Studio で問い合わせ対応のシステムが作れるのか」という点は、よく誤解されやすいポイントです。
この記事では、3種類の Copilot の違いを整理して、Copilot Studio で何ができるのか、どうやって使うのかを、できるだけ分かりやすく説明します。
Copilot の3つの種類
Microsoft の Copilot には、大きく分けて3つの種類があります。それぞれ「誰が」「何のために」使うものなのかを理解すると、混乱しなくなります。
1. Copilot(一般的な AI アシスタント)
Windows や Edge(ブラウザ)などで使える、Microsoft 製品全体を助けてくれる AI です。パソコンの操作をサポートしたり、ちょっとした質問に答えてくれたりします。
イメージ: パソコンに詳しい友達が横にいて、操作を教えてくれる感じ
出典: https://www.microsoft.com/copilot
2. Microsoft 365 Copilot(仕事の効率化 AI)
Word、Excel、Teams といった仕事でよく使うアプリの中で、文章を作ったり、データをまとめたりする作業を手伝ってくれる AI です。個人の作業効率を上げることが目的です。
イメージ: 優秀な秘書が、資料作りやメールの下書きを手伝ってくれる感じ
出典: https://www.microsoft.com/microsoft-365/copilot
3. Copilot Studio(自動応答システムを作るサービス)
会社の問い合わせ窓口や、社内の手続き案内などを自動で答えてくれる「エージェント」を作るためのサービスです。作ったエージェントは、Web サイトや Teams に配置できます。
イメージ: 会社専用の案内係を作って、よくある質問に自動で答えてもらう感じ
出典: https://www.microsoft.com/copilot-studio
3つの違いを比較すると
| 項目 | Copilot | Microsoft 365 Copilot | Copilot Studio |
|---|---|---|---|
| 主な用途 | パソコン操作のサポート | 文書作成や要約などの作業効率化 | 問い合わせ対応やQ&Aの自動化 |
| 誰が使うか | 個人ユーザー | 仕事をする人(社員) | 組織・部署(エージェントを作る担当者) |
Copilot Studio でできること
Copilot Studio を使うと、「よくある質問に自動で答えるシステム」を作ることができます。実際にどんな場面で使えるのか、2つの例を紹介します。
Web サイトでの活用例
会社のホームページに問い合わせ窓口を作りたいとき、Copilot Studio で作ったエージェントを配置できます。
例えば、こんな使い方ができます:
- 「営業時間は何時から何時まで?」という質問に自動で答える
- 「〇〇のサービスについて教えて」と聞かれたら、説明ページを案内する
- 店舗が複数ある会社では、どの店舗でも同じ案内ができるので便利
訪問者は、画面に表示されるチャット欄に質問を入力するだけで、すぐに答えが返ってきます。
電話やメールで問い合わせる手間が減るので、お客様にも担当者にも優しい仕組みです。
ただし、注意点があります: Web サイトに埋め込む場合、エージェントは「認証なし」の設定にする必要があります。つまり、インターネットを見ている誰でもアクセスできる状態になります。社内の機密情報を扱う用途には向いていません。
Teams での活用例
社内の Teams にエージェントを追加すると、社員向けの問い合わせ窓口として使えます。
例えば、こんな使い方ができます:
- 「パスワードを忘れたときはどうすればいい?」という質問に手順を案内
- 「休暇申請はどこから出せばいい?」と聞かれたら、申請フォームの場所を教える
- 総務部や情報システム部への問い合わせを減らせる
普段使っている Teams の中で質問できるので、社員にとって使いやすく、窓口担当者の負担も軽くなります。
Teams の場合の安心ポイント: Teams に配置したエージェントは、自動的に会社のアカウント認証が適用されます。職場または学校アカウントを持っている社員だけがアクセスできるので、安全に使えます。
Web と Teams の違いを比較
| 項目 | Web サイト | Teams |
|---|---|---|
| 公開先 | Web ブラウザ上に公開 | Teams のチャンネルやタブに公開 |
| 誰が使えるか | 誰でも利用可能(認証なし) | 職場または学校アカウントを持つ社員のみ利用可能 |
| セキュリティ | 認証がないため、機密情報には不向き | 自動的にアカウント認証が適用され、安全に利用できる |
ビジネスアカウントだけで使えるの?
ここが一番誤解されやすいポイントです。
答えは「使う人は普通のアカウントでOKだけど、作る人には専用ライセンスが必要」です。
職場または学校アカウントとは
Microsoft 365 を会社や学校で使っているときに発行される、仕事用・学校用のアカウントのことです。普通は「名前@会社名.com」のような形式になっています。
これは、Microsoft の製品にサインインするための「入り口」のようなもので、サインインできるからといって、すべての機能が使えるわけではありません。
エージェントを「作る人」に必要なライセンス
Copilot Studio でエージェントを作るには、次のいずれかのライセンスが必要です:
● Microsoft 365 Copilot(¥4,497 / 月 / ユーザー)
- すべてのライセンスに Copilot Studio へのアクセス権が含まれる
- Teams、Microsoft 365 Copilot、SharePoint 内でのエージェント利用は Copilot クレジットを消費しません(ゼロ評価)
- 社内向けエージェントの構築と活用に向いている
● Copilot Studio(プランは2種類)
① 購入前プラン(プリペイド・クレジット制)
- 月額 ¥29,985/パック(25,000 Copilot クレジット含む)
- 利用量の予測が可能で、予算管理をしたい組織向け
- テナント全体で購入する方式
② 従量課金制
- 1 Copilot クレジットあたり ¥1.5(約0.01ドル)
- 月ごとに利用量が変わる場合に最適
- Azure サブスクリプション経由で後払い
エージェントを「使う人」に必要なもの
良いニュースがあります。公開されたエージェントを使うだけの人は、特別なライセンスは必要ありません。
- Teams で使う場合: 職場または学校アカウントがあればOK(追加費用なし)
- Web サイトで使う場合: 誰でも自由に使えます(追加費用なし)
つまり、エージェントを作る担当者だけが Copilot Studio のライセンスを持っていれば、組織全体で活用できるということです。
作る人と使う人の違い
| 項目 | エージェントを作る人 | エージェントを使う人(Teams) | エージェントを使う人(Web) |
|---|---|---|---|
| 必要なもの | Microsoft 365 Copilot または Copilot Studio(プリペイド or 従量課金) | 職場または学校アカウント(Microsoft 365 アカウント) | 何も不要 |
| 費用 | Microsoft 365 Copilot:4,497 円/月(年払い) Copilot Studio:¥29,985/月(プリペイド)または 従量課金(¥1.5/クレジット) | 無料(追加費用なし) | 無料(追加費用なし) |
ライセンスと料金の整理
最後に、2つのライセンスプランの違いを整理しておきます。
Microsoft 365 Copilot を持っている場合
Microsoft 365 Copilot のライセンス(月額 4,497 円/ユーザー、年払い)を持っていれば、Copilot Studio へのアクセス権が含まれています。
できること:
- Teams や Microsoft 365 Copilot 内で使えるエージェントを作成
- Word、Excel、Teams などでの AI 支援機能も利用可能
- 社内メンバーは追加費用なしでエージェントを利用可能
- Teams、Microsoft 365 Copilot、SharePoint 内でのエージェント利用は Copilot クレジットを消費しない
できないこと:
- 会社のホームページなど、外部の Web サイトへの公開
Copilot Studio スタンドアロンを契約する場合
外部の Web サイトにエージェントを公開したい場合は、Copilot Studio スタンドアロンが必要です。
このプランは固定料金制ではなく、次の 2 つの料金体系から選べます。
① プリペイド Copilot クレジットパック(¥29,985/月)
- 事前に 25,000 Copilot クレジットを購入する方式
- 利用量が月ごとに安定している組織に向いています
- テナント全体で契約
② 従量課金制(¥1.5/クレジット)
- 利用した量に応じて支払う方式
- 月ごとの利用変動が大きい組織に向いています
- Azure サブスクリプション経由で請求
できること:
- 外部の Web サイト、アプリ、SNS などへの公開
- Teams や Microsoft 365 Copilot 内での利用も可能
- ライセンスを持っていない人もエージェントを利用可能
料金の考え方:
- エージェントが質問に答えるたびに「Copilot クレジット」を消費します
- 質問の複雑さによって消費量が変わります
- 2025年9月より、課金単位が「メッセージ」から「Copilot クレジット」に変更されました
2つのライセンスの違い
| 項目 | Microsoft 365 Copilot | Copilot Studio スタンドアロン |
|---|---|---|
| 料金 | 月額 4,497 円/人(年払い) | ¥29,985/月(プリペイド)または 従量課金 |
| 外部 Web 公開 | できない | できる |
| Teams 公開 | できる(クレジット消費なし) | できる(クレジット消費あり) |
| Word/Excel などの AI 支援 | 含まれる | 含まれない |
参考リンク:
- Microsoft 365 Copilot 料金: https://www.microsoft.com/en-us/microsoft-365-copilot/pricing
- Copilot Studio 料金: https://www.microsoft.com/en-us/microsoft-365-copilot/pricing/copilot-studio
まとめ
Copilot という名前は複数のサービスに使われているため混乱しやすいですが、役割を整理すると理解しやすくなります。
3つの Copilot の違い:
- Copilot: パソコン全般のサポート
- Microsoft 365 Copilot: 個人の仕事効率化
- Copilot Studio: 組織向けの問い合わせ対応システム作成
Copilot Studio でできること:
- Web サイトや Teams によくある質問に自動で答えるエージェントを配置できます
- Web 公開は認証なし(誰でもアクセス可)、Teams 公開は自動的にアカウント認証されます
- エージェントを作る担当者だけがライセンスを持てば、使う人は追加費用なしで利用できます
ライセンスのポイント:
- Microsoft 365 Copilot(¥4,497/月/人、年払い)で社内向けエージェントが作れます
- 外部の Web サイトへの公開には Copilot Studio スタンドアロン(¥29,985/月 または 従量課金)が必要です
- エージェントを使うだけなら、Teams の場合は職場または学校アカウントだけ、Web の場合は何も不要で利用できます
- 2025年9月より、課金単位が「Copilot クレジット」に変更されました
これらの違いを理解すれば、自社にとってどの Copilot が必要なのか、どう活用できるのかが見えてくるはずです。
参考リンク
- Microsoft Copilot: https://www.microsoft.com/copilot
- Microsoft 365 Copilot: https://www.microsoft.com/microsoft-365/copilot
- Microsoft Copilot Studio: https://www.microsoft.com/copilot-studio
- Microsoft Learn(技術文書): https://learn.microsoft.com/microsoft-copilot-studio
- ライセンスガイド: https://learn.microsoft.com/en-us/microsoft-copilot-studio/billing-licensing